手組みホイールが出来るまで(9): 組み立て作業・前輪の振れ取り [手組ホイール]
前回の前輪の仮組みに続き、ホイールの振れ取りをします。
ここから、いよいよMINOURAの振れ取り台True-Pro2の登場です。
振れ取り台に、クイックリリースで仮組みしたホイールを固定します。
スポークのテンション上げ
ハウツー本などによっては、ヨコ振れの前にタテ振れを取るという方法を推奨したり
また別の本では逆だったりとやり方は人によって様々なようです。私は、ロードバイクの科学にならい、先ずはスポークのテンションを目標まで上げつつ
タテ振れを取っていくことを優先しました。タテ振れを取るには、振れ取り台の写真の部品を使います。
手前のダイヤルを回す事で微妙な長さの調節ができます。
この部品とリムの距離を見ながら、ブレのある箇所をさがし、修正していくわけです。まずは、全てのスポークともに、ネジ山が見えなくなるまでニップルを回しました。
テンションのかかっていない始めのうちは、スポークレンチよりもマイナスドライバーの方が
回しやすいので作業効率がいいと思います。
全てのスポークのネジ山が見えなくなると、スポークにまあまあ張力を感じるようになります。
試しにPARKTOOLのテンションメーターTM-1でテンションを計ってみると。
ほぼゼロでした。。テンションの換算表を見ると、今回の目標値の120kgfは1.8mmのスポークの場合
だいたい22~23の間になります。まずは22を目標にスポークを張っていきます。
タテ振れヨコ振れの振れ取り
ここからはスポークレンチを使って、各スポークともに均等にニップルを回していきます。
このスポークレンチは、MINOURAの振れ取り台セットに付属していたものです。PARTOOLのスポークレンチが使い易いと評判ですが、今回はこれで作業しました。
精度があまり良くないとの評判を目にした事もありますが、特に精度が悪いとは思いませんでした。
もっと別の問題がある事がこの後で判る事に・・・テンションが目標値になり、タテ振れが取れ出したら、こまめに振れ取り台から外してセンターゲージで
センター出しをします。この作業は結構大事だと思います。センターゲージを使い、L側とR側の距離を測ることで、振れ取り台でヨコ振れがあった時に、右と左のどちら
に寄せるべきかの判断基準にする事が出来ます。
と、実はここから、完成まではあまり写真がありません。。
振れ取りに熱中していたのもありますが、ひたすらスポークレンチで締める、テンションを測る
バランスを見る、の反復作業だからです。ですので、代わりに今回の振れ取りで得た勘所を少し。
・ バルブ穴を目印にする
テンションを上げていく作業は、振れ取り台でホイールを回しながら全てのニップルを均等に
締めていきますす。その際、バルブ穴を目印とする事で、ホイールが1周した事が判ります。この時の注意点として個人的に気をつけていたのが、どこまで作業したか絶対に見失わない
という事が大事だと思います。バルブ穴からバルブ穴まで1周するまでの間に、どこまでニップル
を締めたか判らなくなると、完全にバランスを失います。この作業中は、カミさんに話しかけられても意識をリムから離さないように、なんなら無視する
くらいで臨む必要がありした(後でちゃんとフォローしましょう)。・ テンションメーターでこまめに測る
これは非常に大事なポイントでした。タテ振れ、ヨコ振れが発生した時に、発生している箇所の
スポークのテンションを測る事によって、どこを修正してバランスを取るべきか、判断の基準とする
事が出来ます。このツールがなければ、素人の私は相当悩まされたと思います。
ようやく前輪完成
振れ取りと格闘する事4時間余り、ようやく出来ました!手組ホイールはどこまでやれば完成、という指標が難しいものなので、どこで納得するか
という事を決めるのが大事ではないかと思います。
妥協点(納得できるレベル)がなければ、ほぼエンドレスな作業になってしまう気がします。そこで、私の場合の完成基準として以下の様に決めていました。
この2つをなんとか満たす事が出来たので、今回はひとまず作業完了です。
・ スポークのテンションは120kgf ±10%以内
・ タテ振れ、ヨコ振れ共に1mm以下あとは、また実走行をして振れ取りの調整をしていきます。
それにしても、前輪が完成した時のうれしさは結構なものがありました
費やした時間から得られた達成感もありますが、自分の手と感覚と知識を総動員して完全な(と思える)
バランスを持った構造を作り上げていくプロセスは、なんとも言えない楽しさと充実感がありました。
ホイール重量
完成したホイールの重量を計ってみました。
ORBEA AQUAに元々ついていたホイールと重量を比較する為に、まずはORBEA AQUAのホイール。
リムテープとクイックが付いた状態で、1060gと出ました。次に今回の手組ホイールの方です。
リムテープもはめて、クイックリリースを付けた状態で876gと出ました。よって前輪は、1060g-876g= 184g の軽量化となりました。
今回、軽量化はあまり期待していませんでしたが、AQUAの純正のホイールが思ってたより
重かった為、思いがけず得した気がします
親指を負傷
前述した、MINOURAのスポークレンチを使った事による弊害が次の日に出ました。
なんと親指がパンパンに腫れ上がってしまったのです!レンチの精度自体に不満はなかったのですが、MNOURAのスポークレンチの持ち手の部分
(親指で回す部分)が金属で四角くなっているため、テンションがかかったスポークを回すには
親指にかなりの圧力がかかります。これを何度も何度も繰り返していた為、親指がこんな状態になってしまいました。
巷でPARKTOOLのスポークレンチが好評な理由が判った気がします。買っとけばよかった
ともあれ、無事に前輪の組み立てが終わりました。
次の記事は後輪の組み立てです。
・手組みホイールが出来るまで(2): 振れ取り台 MINOURA True-Pro2
・手組みホイールが出来るまで(3): ロードバイクの科学
・手組みホイールが出来るまで(4): リム MAVIC Open Pro
・手組みホイールが出来るまで(5): ハブ SHIMANO 105
・手組みホイールが出来るまで(6): スポーク DT Swiss Champion 1.8
・手組みホイールが出来るまで(7): テンションメーター PARKTOOL TM-1
・手組みホイールが出来るまで(8): 組み立て作業・前輪の仮組み
・手組みホイールが出来るまで(9): 組み立て作業・前輪の振れ取り
・手組みホイールが出来るまで(10): 組み立て作業・後輪&完成
・手組みホイールが出来るまで(11): 走行テスト
Parktool パークツール スポークテンションメーター TM-1
- ショップ: ザ・パワフル
- 価格: 10,200 円
素晴らしい!
これだけの作業なら4時間でもはやいように感じます。
私なんて記事を読んでいるだけで混乱しそうでした^^;
後輪の記事も楽しみにしていますよ~
by Zn (2009-09-28 02:38)
初めましてpandaheadさん。
最近、こちらのブログを見つけて楽しく読ましていただいています。
僕も古いのですが、オルベアのアクアに乗っていて、普段はGIANTのOCR2(これも古い)で通勤しています。
これからも、ちょくちょく読ましてもらうのでよろしくです。
by キッシー (2009-09-29 09:46)
Znさん>
後輪の記事もようやく書きました。
手組みを作るより、ブログの方がよっぽど大変。。^^;
by pandahead (2009-10-02 11:01)
キッシーさん>
ご訪問いただき、ありがとうございます。
大したブログではないですが、今後ともアクア仲間と言う事で
よろしくお願いします^^
by pandahead (2009-10-02 11:02)